シンポジウム「医師不足・看護師不足の解決をともに考えましょう」


☆医師、看護師不足の解消で、安心・安全な医療を
22日上京区ルビノ京都堀川で開かれたシンポジウムに参加しました。

現場のリアルな実態が報告され、医療崩壊を食い止め改善するためにがんばらなければと決意を新たにしました。

シンポジウムのコーディネーターは吉中丈志氏(京都民医連中央病院院長)
シンポジストは、相良幸彦氏(西陣健康会堀川病院院長)
垣田さち子氏(京都保険医協会福会長)
寺口淳子氏(京都南病院看護部長)
岡崎小夜子氏(京都民医連第二中央病院看護部長)


現在の医師不足は、政府の失政に原因があります。
政府は、1980年代より医師数抑制政策をとりつづけてきました。
その結果がいまの絶対的医師不足の原因です。
病院で働く勤務医も、地域開業医もヘトヘトに疲れ燃え尽きています。

医療費抑制のため、次に政府が目指しているのは、混合診療(保険で受けられる医療を限定し、それ以上の医療を受けるには自費負担しなければならない自由診療枠を広げる)を拡大し、75才以上の高齢者から新たに保険料をとり、保険で受けられる医療内容を限定する後期高齢者医療制度の導入などで、いまの国民皆保険制度を崩すことです。

とくに高齢者を病院から在宅へと誘導しようとしていますが、肝心の在宅医療の支え手も完全に不足しています。
24時間365日の在宅医療を誰が支えるのか、国は、開業医にその役割を担わせようとしていますが、簡単にできることではありません。
国のあまりにも無責任なやりかたを厳しく追及する必要があります。

「難病や癌、精神病の患者さんが地域へと吐き出されるように返されてくるが、受け止める体制も整備されていない現状をみるべき」と訪問看護ステーションの管理者は、看護師不足の影響と合わせ地域医療が成り立っていない問題を告発しました。

病院での看護の実態では、「10月の勤務表がつくれない」「こんな勤務体制でなにかあったらどうするんですか」という現場管理者やスタッフの声が紹介されました。 血のにじむようなカツカツの状態で現場を守っている地域の病院。 「仕事の量 や密度に比してもともとの定数が少なすぎる」「とてもやれない‥」と職場を去るナース。患者さんの高齢化でますます看護度が高まっている実態に定数が見合っていないのです。

そのうえ看護師が確保できなければ、現場が疲弊する。疲弊する現場から看護師が離職し益々人手不足に陥るという悪循環が起こります。
本来、国は皆さんが求める安心、安全な医療で、病人を減らすために、保健行政を強め、誰もが早期に医療を受けられる条件と医療従事者を燃え尽き症候群にさせない体制強化に努めるべきなのです。 

ところが、政府は「医療費を抑えないと国が滅びる」と喧伝し国民を欺いてきました。
実際のところOECDの調査でもはっきりしていますが、先進7ケ国の比較で日本のGDPに占める保健医療費は最下位 です。

少ない体制で高度な医療を支えている日本の医療。
100床あたりの医師数で日本は13,7人。
ドイツ37,6人、フランス42,5人、イギリス49,7人、アメリカ66,8人です。
これでようやれてるなあと思いませんか?

診療報酬の切り下げ、保険料や窓口負担の値上げによる受診抑制、医師や看護師が確保できず病床閉鎖となる病棟、経営難から姿を消すみなさんの地域の病院。
医療は社会基盤です。政治の責任であることをはっきりとさせなければなりません。

この間、わたしたちの運動で、政府与党は来年4月実施予定の後期高齢者医療保険制度や老人福祉医療分一部負担の修正を示していますが、ちょっとやそっとの修正でお茶を濁させるわけにはいきません。
後期高齢者医療保険制度は撤回すべきです。国民の医療を受ける権利を奪うのではなく、医師や看護師を増やし、皆さんが安心して受けられる医療に責任を果 たすべきです。

財源はあります。政党助成金はすぐにでもやめさせましょう。
年間5兆円もの米軍への思いやり予算もスパッと切りましょう。
公共事業費は見直し甲斐がありますね。サミット6カ国を全部合わせた費用よりも日本の公共事業費は多いんですから。
そして、法人税の減税分を元に戻すなど、みなさんの願う医療や福祉の充実に振り向けるべきではないでしょうか。