☆ 「きもの大好き」対談

和装業界は本当に厳しい環境に在りますがそうした中で、『きもの大好き』というお二人に着物を着る楽しみを語っていただきたいと思います。

くらた こんにちは。私は母親がよく着物を着ていましたから、普段に着たいと思っていましたし、それが板に付いているのはかっこええのと違うかと。結婚してから着付けを習いに行きました。けど最初は汗だくでしたね。「なんでこんなにしんどい思いして着んとあかんのやろ」と。もっと簡単に着るようにしたいと思いましたね。
沼田 結構エネルギーがいりますね。
(沼田やよいさんは、西陣織整経業を営んでおられます。)

着付けは慣れ

くらた 慣れてくると紐も結ばすにねじるだけ、それも一本ぬ き、二本抜きしたり、ここは緩めてもどうもないということがわかってくる。そうすると気合入れて着ることもなく、着ることが楽しみになりますね。
沼田 諸先輩から見ると「あんな着方してはる」とか「おかしいわ」と思われても気にしていたら着れないし気にせずに着るようにしています。
 それでも最初、着て出る時は勇気がいるの。晴れがましくって。近所の人も「どこ行くねん 着物着て」というような目で見るし、どこでも振り返る人多いし。せやけとそれが心地よくなってきたりして(笑)
 着物は昔のものでも着れるからいいですね。三十年以上前の着物だけと今年の初釜に娘に着せたら、帰ってきて、「ほめてもらったんえ この着物」と言ってました。


 保存さえ大事にしたらいつまでも楽しめます。
組み合わせで無限に楽しめる

くらた 洗い張りしながら着ているのが何着かあります。一着は染め直しを勧められて、深い味わいの色になり、違ったものになりました。それに着物には原色をつかえる楽しみもありますね。
 帯締め一本、帯揚げ一つ、小物を一つ買っても次はこれに合うのはあれかなという風にイメージが広かっていく。だから最初から新しいものをいっペんに揃えるのではなく、持っているものと新しいものを組み合わせる。そうすると洋装以上にあらゆるコーディネイトが可能だし、最低限のルールさえ守れば楽しみが無限に広がります。
沼田 着物ってごまかしが効きますよね。長くても大きくても結構着れるし楽しめます。
くらた それこそ帯はいかようにでもということですし、ちょつと着慣れてくると新しいものほしいなと思いますし。
沼田 この前、奈良に行った時に古着屋さんで 「一五〇〇円で買ってきた帯があります。これなら紬に合うかなと思って。皆に笑われたけど。そんなにいいものは持っていません。とにかくあるもので頑張って着ます。そのうち夫もいいものを買ってくれるかもしれないし。(笑)
 今日の着物も引っ越しされた八十歳のおばあさんから頂いたものです。
くらた 私のこの帯も夫の母の物なんです。
沼田 ただ時々困ることがあって、洗い張りとかしみ落としなんかどこに出したらいいかわからなくて、そういうことがすぐわかる所があればいいなと思いますね。
くらた 京都市や業界が無料の相談センターをつくったら助かりますよね。
沼田 着物というと訪問着とか付け下げとか帯なんかフォーマルな物と考えがちですが、皆が持っている着物で着れる言うのも大事だと思います。
くらた 今、中学校でも浴衣の着方を教えていますが、浴衣でも自分で着れるようになれば、あれはあれで大事ですね。
沼田 とりあえず自分で着れるようになるのが−番大事だと思います。
 私はこれまでは家業に追われて年寄りもいましたし、なかなか余裕がなかったので五、六年前からですね。今でも日常生活は着物では立ち動けないことばかりなので自分で機会をつくらないと。だからちょつと出る時にはなるべく着るように心掛けています。
くらた もっと大勢の人が着るようになればいいですね。着物を着る人か街中に増えてくると観光にくる人たちの京都の印象も変わるかもしれないし、京都のグレイドも上がるんじゃないかな。