学生無年金障害者京都訴訟 大阪高裁が棄却 判決要旨 2月27日

判決要旨

第5 当裁判所の判断
1 判断の要旨
 (1)本件各処分の効力(争点1−1から争点1−4までのまとめ)について
   ア 控訴人坂井に対する本件処分
控訴人坂井の京都府知事に対する障害基礎年金の裁定請求に係る障害の原因となった負傷の初診日は昭和49年1月2日であり,当時同控訴人は22歳の学生であり,国民年金に任意加入していなかったことは,前記第2の3のとおりであるから,障害基礎年金の支給要件である「初診日に被保険者であること」を充足しないものというべきである。
 ところで,国民年金法が,昭和34年法において学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,昭和60年改正においても学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,及び控訴人らすでに生じていた学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったこと,平成元年改正後においても,同様に学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったことは,不合理ではなく,憲法25条,14条に違反しないことは,後記2のとおりであり,控訴人らの障害基礎年金の裁定請求につき国民年金法30条の4を類推ないし拡張解釈して適用すべきものとはいえないことは,後記3のとおりであり,学生除外規定の対象となる学生に対し任意加入制度に関する個別 の告知,教示をすべきものともいえないことは,後記4のとおりである。
以上によれば,控訴人坂井に対する本件処分は適法であり,その取消請求は理由がない。


イ 控訴人松岡に対する本件処分
控訴人松岡の京都府知事に対する障害基礎年金の裁定請求に係る障害の原因となった疾病の初診日は昭和57年1月17日であることは,後記5のとおりであり,当時同控訴人は21歳の学生であり,国民年金に任意加入していなかったことは,前記第2の3のとおりであるから,障害基礎年金の支給要件である「初診日に被保険者であること」を充足しないものというべきである。
 ところで,国民年金法が,昭和34年掛土おいて学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,昭和60年改正においても学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,及び控訴人らすでに生じていた学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったこと,平成元年改正後においても学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったことは,不合理ではなく,憲法25条,14条に違反しないことは,後記2のとおりであり,控訴人らの障害基礎年金の裁定請求につき国民年金法30条の4を類推ないし拡張解釈して適用すべきものとはいえないことは,後記3のとおりであり,学生除外規定の対象となる学生に対し任意加入制度に関する佃別 の告知,教示をすべきものともいえないことは,後記4のとおりである。
  以上によれば,控訴人松岡に対する本件処分は適法であり,その取消請 求は理由がない。

(2)国家賠償請求(争点2−1から争点2−3までのまとめ)について
国会議員が,昭和34年法において学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,昭和60年改正においても学生を強制加入の対象外とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給しないこととしたこと,及び控訴人らすでに生じていた学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったこと,平成元年改正後においても学生無年金障害者に対する救済措置を講じなかったこと,内閣が,上記のように,学生を強制加入の対象とし,初診時未加入学生障害者に無拠出制障害年金を支給し,学生無年金障害者に対する救済措置を講じる旨の法律案を提出しなかったことが,国家賠償法上違法であるとはいえないことは,後記6のとおりであり,京都府知事が,控訴人らの障害基礎年金の裁定請求につき国民年金法30条の4を類推ないし拡張解釈して適用しなかったことが,国家賠償法上違法であるとはいえないことは,後記7のとおりであり,社会保険庁長官らが,学生除外規定の対象となる学生に対し任意加入制度に関する個別 の告知,教示をしなかったことが,国家賠償法上違法であるとはいえないことは,後記8のとおりである。
  以上によれば,控訴人らの国家賠償請求はいずれも理由がない。